バスキングとは、路上パフォーマンスをしてお金を稼ぐことです。
オーストラリアの街を歩いていると、たくさんの路上パフォーマー(バスカー)を見かけます。
日本で路上ミュージシャンといえば、プロ志望の若者がアツくパフォーマンスしているイメージですが、オーストラリアのパフォーマーは年齢も人種もジャンルもさまざま。
クオリティーも、プロレベルでバスキングで生計を立てている人からそうでもない人までさまざま。道行く人々も、自分が気に入ったパフォーマーにはためらいなくお金を置いていきますし、人気のバスカーはいつもたくさんの観客に囲まれています。
筆者も、メルボルンに引っ越してきたばかりの頃いろいろなバスカーを見て触発され、「もしかして、私にもできるんじゃない?」と、バスキングに挑戦しました!ということで今回は、バスカーになるために必要なことをシェアしたいと思います。
目次
自分にどんなパフォーマンスができるか決める
あなたには他人に見せて喜んでもらえるような特技はありますか?
- 楽器演奏
- 弾き語り、歌
- マジック
- 大道芸
- アート
- ダンス
- パントマイム
- 人形使い
- 似顔絵
- Living statue(生きた彫像。彫像のようにじっと動かずにいて、お客さんがチップを入れると動いたり踊ったりするパフォーマンス)
…などなど、自分のパフォーマンスを決めましょう!
ちなみに筆者は楽器演奏に自信があったので、楽器の演奏と歌をすることに決めました。
バスキング許可(Busking Permits)を取る
市のポリシーに反していなければ基本的には許可されます。メルボルンのBourke Street Mallなどはクオリティの高さが重視されるため、条件があり許可の難易度は高いです。
《許可を取る手順(メルボルンの場合)》
まずは市のHPでバスキングのページへ。
メルボルン
ちなみにシドニーはこちら。
http://www.cityofsydney.nsw.gov.au/council/our-responsibilities/permits-and-notifications/busking
オンラインで申し込み(Online Application)
ホームページ上から申し込みます。申し込みには自分の名前や連絡先の他に、自分のバスキングで何をするのか、詳しく記入します。
バンドなど、グループでバスキングする場合は、グループごとではなく1人ずつ許可証を貰う必要があります。
料金
12ヶ月 $20
3ヶ月 $10
CDやDVD、アート作品を売る場合は別途$50かかります。
(グループの場合1人ずつ許可証が必要ですが、この追加料金は1グループにつき1件で、グループのメンバーが1人ずつ払う必要はありません。)
Eメールが来たら指定の説明会へ
申し込みからしばらくするとEメールが送られてきます。そこに説明会の日時や場所が指示されています。参加しないと許可証がもらえないので遅れずに行きましょう。
説明会で許可証を受け取る
説明会では、自分と同じようにバスキング許可を申請した他のパフォーマー達と一緒に市の担当者の話を聞き、最後に許可証が発行されます。
許可証は名前や期限などが載っていて、パフォーマンスする時にそれを見やすいところに置かなければなりません。
筆者が参加した時はメルボルンの地図を渡され、どのエリアでパフォーマンスができるのか、バスキング禁止のエリアはどこなのか、そして禁止行為なども説明されました。
許可証をもらう直前になって担当者に呼び止められ、
「申込書に『音楽を演奏しながら自作のアクセサリーを売る』と書いてあるけど、アクセサリーを売るのはバスキング許可ではなく別の許可が必要ですよ。音楽演奏だけならバスキング許可しますけど。」
と言われました。道端で自作のアクセサリーを売っている旅人からよくアクセサリーを買っていたので問題ないと思っていたのですが、実は違法行為だったみたいです。
道で雑貨を売るにはStreet Tradingの許可を取る必要があると言われました。(http://www.melbourne.vic.gov.au/business/permits-and-approvals/street-trading/)
【体験談】さあ、バスキングしよう!
筆者はバンドを組んだり音楽活動をしていたことがあり、人前で演奏することには慣れていましたが、たった1人で路上パフォーマンスをするのは初めて!
まず場所は、観光客がたくさん通るお気に入りの通りがあったので、そこに決めました。アンプ、マイク、マイクスタンド、楽器をスーツケースに詰めて向かいます。ドキドキです。セッティングをしていると、いろんな人が話しかけてくれました。
「どこから来たの?」「なにを演奏するの?」「パフォーマンスが始まる頃また来るね!」そんな声を聞いているうちに、いけるかも!という気持ちになってきました。楽器ケースに小銭をじゃらんと入れて、いざ演奏!
そこで気づきます。
あれ…誰も足を止めてくれない!
焦ります。演奏する前はあんなに多くの人が話しかけてきてくれたのに!
それまで観客がいない状態で演奏した事がなかったので、なんだかとても不安な気持ちになりました。
通行人の目線が気になります。通りゆく人が全員楽器ケースをチラ見して、「こんなしょうもない音楽にお金なげる人もいるのかよ」と思ってるんじゃないか、と嫌な妄想が浮かんできました。
小さな女の子がじっと見てきましたが母親に手を引かれ行ってしまいました。さっき「パフォーマンスが始まる頃にまた来るね!」と言ってくれたおじさん、全然来てくれないじゃん!うそつきー!
自分が通行人の時は「メルボルンのバスカーは通行人に愛されているなあ」と思っていたのに、自分がパフォーマーになった途端、ネガティブな考えしか浮かばなくなったのです。
そのうち頭がパンクしそうになり、途中で考えるのをやめました。とにかくこの空気を楽しもう、こんないい天気の中、木陰で音楽ができる喜びを味わおう!と思い始めました。
よしこの調子!と思いつつ、曲の合間に水分補給をしていると、1人のアジア系男性に話しかけられました。
英語が訛りすぎて一体なにを言っているのか初めはわかりませんが、どうやら「自分は大道芸人で、あなたが演奏しているところの道の向かい側で今からバスキングをするのだけど、いい?」という事でした。
「ちょうど休憩しようとしていたのでいいですよ」と言い、彼が芸の準備をするのを遠目で見ていると、ちょっと自分の心が折れていることに気づきました。(笑)
観客がいない状態で一人で演奏するなんて、私には無理!!私の音楽には、歩いている人の足を止めるほどの魅力はないんだわ!
…と思い、そのまま楽器を片付け、帰宅。正直、私は30分間以上は耐えられませんでした。
後日、とあるバーで友人とバンド演奏させてもらった時、お客さんと仲間の大切さを痛感し、自分はバスキングに向いてないと悟りました。でも、挑戦していなければ気づかなかった事なので、挑戦して本当に良かったです。
ちなみに私に話しかけてくれたアジア系の大道芸人さんはバスキングで生計を立てているそうで、通行人の注意の引き方とかお客さんの心のつかみ方とかがすごく上手で感動しました。すぐに大勢の人だかりができていましたよ。
自分こそは!という方は是非挑戦してみてはいかがですか?
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